第十二幕 Dimension freeze

■アクエリアスゲート 応接間■
「次元介入したのか!?」

黒咲が驚きの声を上げた。

「まあ、あの時はそれしかなかった。…いろいろ考えたが面倒臭かったし、
 余裕も無かったし」
「面倒臭い…ってお前…」



<焔護の回想>
■中央世界管理機構――管理センター■

「世界構成プログラムに上位アクセス確認!ダイレクトアプローチです」
「システム<断界>要請!!パスワード確認…アクエリアスゲートからです!」
「プログラム・システムアクエリアス起動、テンプレート展開!!…マスター!?」
「…焔護くんか。…わかりました、皆さん彼のフォローに回って下さい」
「――了解。新規ネットワーク構築」
「焔護様に欠損部位確認…再構築します」
「新規空間にシステム<断界>形成準備入ります…完了しました。HTML形式で出力します」
「FTP送信…送信完了、アップデート完了しました」


■アクエリアスゲート  ホール■
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」
「ぬぬぬぬぬ!!!」

夕霧の拳が焔護を襲う。その拳を脇で挟んでそのまま勢いを利用して投げ飛ばし、
そこへ氣撃を放つ…が直撃寸前に夕霧がジャンプしかわす。爆炎が巻き起こった。

「あっ…壊したかな、壁!くああっ!」
「AAAAAAAAAAAAA!!」

夕霧の猛攻を必死でかわす。焔護の知覚領域に青い光が輝いた。

「うぐぐっ…き、来たなっ!!」

上空から不可視情報波が空間を越えてアクエリアスゲートに<降りて>きた。
青い燐光が焔護の折れた左腕に絡みつき、瞬時に完治する。

「GAAAAA!!」
「らぁっ!!」

夕霧の蹴りを右手で掴み、そのまま蹴り飛ばした。
体勢を崩したところへ集めた<氣>を放ち、威嚇して間合いを取る。
両掌を握り締めて、あたりを振動させる雄叫びを上げた。

「おおおおおッ!!!」

焔護の<氣>が全身から巨大な竜巻の如く立ち上がった。―――そして、構える。

「終わりにしてやる!」

そして複雑な印を結んだ。
「時空間座標固定、次元介入・<断界>!!!!」

突如として現れた6枚の半透明の板が四角を形成し、アクエリアスゲートとは違う空間に、
夕霧を閉じ込めた。

「まだまだ!」


■中央世界管理機構――管理センター■
「マスター、アクエリアスゲート焔護様より続いて<絶界>使用要請が入りました」
「構いません…許可します」
「了解。指定座標領域に巨大質量情報子送信します」
「送信準備完了…マスター!」
「――やりなさい」
「巨大質量情報子…発動!!」
「…」
「指定座標にアクセス!情報子流入します―――…時空間演算許容臨界値突破します、3,2,1」
「―――次元凍結<フリーズ>しました!」


■アクエリアスゲート  ホール■
「次元介入・<絶界>!!!」

青い輝きが空間を満たす。
夕霧を閉じ込めている空間内部の時間が、完全に止まった。


■中央世界管理機構――管理センター■
「焔護様よりメッセージが届きました」
「――読んでください」
「<協力感謝する。後日説明に参上する>との事です」
「分かりました。ご苦労様でしたね」