第十七幕 Union power

■次元移動組織プレアデス本艦・超次元要塞サーペンタリウス■


焔護の背中が見なくなるころには、既に異形の生物に囲まれていた。

「うわ〜、たくさん居るわね〜1…2…3…たくさん」

黄坂の為に書いておくと、別に三以上数えられないわけではない。
数える事ができないくらい大量の異形の生物が迫っていた。

「―――どうしますか、綾お姉さま」

白峰が黒咲を見上げた。

「―――直ちに駆除する。合体奥義だ」
「了解よ〜」
「わかりました」

三人が構え、気を高める。

「いっっくわよぉ〜〜!があぁっっ!!たいっ!!!」(黄坂)
「…滅びなさい」(白峰)
「――――はあああああっ!!」(黒咲)

三者三様てんでばらばらの台詞を言いながら、それでも見事に同調した
三人の<氣>の渦が一箇所に集約していく。

「「「天地人!超絶業破陣!!!!」」」


眩い閃光と共に三人を中心に<ちゅどーん>という、一種間抜けな爆発音が起こる。
土煙が収まった頃には、あたり一面綺麗になっていた。

「さて、ここからはとりあえず個別行動だ。各人、焔護の言ったとおり
 呪印を施された人間は、解呪して救護艇に乗せてここから離脱させる。」
「は〜い」
「異形の生物<ウイルス>は消去<デリート>だ。――いくぞっ!!」

黒咲の号令の瞬時に三人はその場から消えた。


■焔護の場合■

走っていると、後方からかすかな爆発音が聞こえてきた。
ちなみに既に先ほどのエントランスから2〜3Kmは駆け抜けている。

「やりやがったな。まあ、あの程度のウイルスくらいなら跡形も残らんだろう」

呟きながら更に走り続けると、開闢地に出た。
その広い空間に恐ろしいほどの殺気が充満していた。顔を上げる。

「誰かそこに居るな?」

焔護の問いかけに、一人の少女が姿を現した。その少女から殺気が放出されている。
物凄くでている。まさに鬼の形相だ。

「…オマエが焔護地聖か!!!」

「初対面なのに呼び捨てか。いい度胸だな。そもそも人に名前を尋ねる前に自分の名を名乗れ」
「おまえが…、おまえがお姉さまをっ!!」

堂々と無視されたがあまりにも堂々としていたので、ちょっとムッとしたが、
焔護はそのまま話を続けた。

「おねーさま?だれだそれは」
「沙姫おねえさまだっ!オマエが…っ!!!」
「沙姫…?ああ、夕霧沙姫のことか。姉妹か?確かに<氣>の波動は似ているが」
「問答無用!!!―――死ねええ!!!!
「…断る」


ナース姿の熱血少女が焔護に襲い掛かった。