■アクエリアスゲート  自室■

「うわあっ!!」

朝、目が醒めたら隣に裸の水姫が寝ていた。

流石の俺もこれには驚いた。何しろ昨日一緒に寝た覚えがない。
そんな俺のことなどお構いなしに、水姫ものんびりとその瞳を開いた。
ついでにのんびりとした口を開いた。
「…ありゃ、おきちゃったかー。焔護さん昨日は夜中までお仕事してたから
  気付かれないかなーと思ったのになぁ。ざーんねんっ。」
気配を感じさせずにベッドの中に裸で寝ていた水姫に
驚きの眼差しを向けている俺を他所に、むく、と起き上がる水姫。
そして眠そうにふわ〜、と欠伸をして、ぐっ、伸びをした。
露わになったその白い肌の双丘がたゆ〜んと揺れる。
まだ脳が起きていないせいか、仕草が全部擬音になっているような
気がしないでもない。
「何でお前、俺のベッドの中に居るんだ?」
当然の疑問だ。普通は…いない。
「何で、って朝だから起こしに来たんだ。そしたら焔護さんが気持ちよさそーに寝てて…
  それで、寝言でボクの名前を呼んでくれたから嬉しくなっちゃって。」
…うわ、なんと恥ずかしい事を。寝言を言っていた上にそれを聞かれているとは。
確か…夢を見ていたはずだが…。
夢。
なぜか砂漠で遭難するような夢を。―――すこし、思い出した。
『み、水…気が狂いそうだ…』
とか言っていたはず。
『みず…きがくるいそうだ』
『みずきが』
いや、そんな…まさか、な。
ちょっと顔を引きつらせて水姫を見ると、こいつはこいつでなんだかうれしそうに
にへらーと笑っている。
…ま、嬉しそうだし(おそらくの)真相は黙っていよう。
しかしそれで何で裸になってベッドに潜り込む必要があるんだか。
朝から水姫の肢体は目に毒だ。いや、保養なのかもしれないが。
「ね、どしたの?急に黙り込んじゃってさ。」
ずい、と顔を近づける水姫。何もつけていない水姫の白い胸が
やわらかくゆれる。こんな俺でも少々目のやり場に困るというものだ。
「いや、なんでもないが―――。何でお前はわざわざ裸になったんだ?」
せっかくなので、ぷるぷると揺れる水姫の胸に指を滑らせながら尋ねた。
ベッドの周りには明らかに水姫のものと思われる衣類が散乱している―――。
「んっ、だってさ、焔護さんは変態さんだし裸好きでしょ?」
こら、そんなに『全てを信じきったような目』で見るな。
それではまるで俺が変態ではないか。…否定はせんが。
「そりゃ確かに好きだけどな…。だが、気が付いたら―――知らないうちに
  横に裸の可愛い女の子が寝てたら吃驚するぞ。」
「か、可愛い、ってボクの事?うひゃ〜うっれしいなぁ〜!」
コイツは人の話を聞いているのか聞いていないのか。
ずれた論点を主題に持ってきて、その上、それらを全部放棄して、
そのままがっばーと抱きついてきて、なんでか再びベッドに押し倒される。
「こらこら、乳息<ちっそく>するだろ。それにもう起きる時間なん…」
言いかけて、絶句した。時計を見ると、まだ5時だ。いつもなら7時〜8時くらいに
起きるというのに。
「あり?」
水姫も変な声を出して、首をかしげた。
「お前、2時間…」
「間違えちゃったみたい。あははー」
能天気に笑うな。というか、どうやって二時間間違えるんだ!?
貴重な2時間を…。
ああ、くそう…。水姫の登場で完全に目が醒めてしまった。
さて、どうしてやろうか。
ど う お 仕 置 き し て や ろ う か 。
ま、目の前に裸の女の子が居るし、退屈はしないだろう。
「それじゃ―――、水姫に…起床予定時間までがんばってもらうか。」
「ふぇ?―――あにゃーっ」

この後の展開は、想像に任せるとしよう。