―――と、がちゃりとドアが開き―――、ほむらと、マスターがタイミングよく
連れだって入ってきた。

【ほむら】おう、来たぜ。
【黒咲】意外に早かったな、ほむら。もっとかかるものだと思っていたが…。
    桜舞市にいたんだろう?
【ほむら】あァ―――、マスターが来てよ、ここまで空間直結で
      ここに繋いでくれたから案外早く来る事ができたぜッ。
【マスター】そーいうこと。誉めよたたえよ!!ほめぺぼぁ!?

大はしゃぎのマスターの鳩尾に、ほむらの一撃がはいる。
マスターはもんどりうってその場に倒れた。

【ほむら】―――で、一体なんだってンだ?
      緊急呼び出しなんて珍しいじゃねェか。
【マスター】う、ぐぐ、それには深い訳、があるんだー…。マリアナ海溝より、深い、ね…。

マスター瀕死の状態から何とか復活。よろよろと立ち上がって、
5人のほうへ振り向いた。きりり、口で言いながらまじめな表情になる。
マリアナ海溝は関係ない。

【マスター】みんなも知ってのとおり、ここ数日の<異形のモノ>の
       出現率が異様に高くなっている。
       これは…ゲート結界の崩壊があったからだ。
【ほむら】うえ?マジでか?
【青瀬】知らぬのはお主ぐらいじゃぞ。
【黒咲】現在残っているゲートはアクエリアスゲートのみだ。
【マスター】そのアクエリアスゲートの管理者である焔護くんも
  所用でアクエリアスゲートを離れている。
  そのために―――ゲートの結界封殺レベルが5から2に低下している。
【ほむら】んなッ?こんなときに焔護師匠は何処に行っちまってるんだよッ?
【マスター】あちらはあちらで大変なんだよ。
   我が愛しの澪ちゃんが何者かに拉致されたんだ。
【黒咲】―――なっ!?
【白峰】み、澪さんが!?
【ほむら】…なァ、静姉。イトシノミオチャンって誰だよ?
【青瀬】儂も知らぬ。
     恐らくアクエリアスゲートにいる焔護の従者のことじゃろう。
【マスター】そーなんだよ、これが可愛らしいメイドさんでえ…!!
   清楚で可憐で儚げで!ああ!ああ!!火の中に咲く一輪の白い花…!!
【ほむら】燃えるじゃねェか。
【黄坂】ほむらちゃん。ホントに澪ちゃんってば可愛いのよっ。
     そんな澪ちゃんを攫うなんて…許せないっ!!!

ごううう!!と黄坂の<氣>が膨れ上がり、旋風を巻き上げる。
周囲の小さなものとマスターが吹き飛び、壁にぶち当たって…
マスターは人の形を壁に描いた。
そこからよいしょっと、と抜け出て黄坂たちのところに歩み寄る。まぁ、鼻血が出てたり、
前歯が一本なくなってたりはしているが。

【マスター】とにかく。あちらは焔護くんに任せよう。
      こちら<中央世界>は我々で何とかしなければいけないだろう。
      ―――今後の結界に関しても、ね。
【ほむら】んで、具体的にはどうすれば良いんだよ。
      出てきた<バケモノ>をいつもどおりぶっとばしゃいいのか?
【黒咲】それでは根本的な解決には至らんだろう。物量的にも問題がある。
     全てを滅したところで―――、一時的なものに過ぎない。
【白峰】―――では、どのように…?
【マスター】そうだね。
       ―――…キミたちには死んでもらう。