第四話 遭遇

【水姫】ゴメン、澪ちゃん〜。道に迷っちゃって…。
【澪】私こそすみません。
   でも、遇えてよかったです…。親切な人に助けて頂きました。
【水姫】あっ、そーなの?ボクもなんだよっ。ホント助かった〜。
     それがすっごい格好いいヒトでさ〜。
【澪】男の方ですか?
【水姫】ううん、女の子。制服着てたから女の子なんだけど、
    すっごく凛々しいヒト、って感じで…。
【澪】私のほうはボーイッシュな感じの女の方でした。
   
互いの報告をしたあとでふと水姫は思い出した。

【水姫】あ、名前聞くの忘れてた!!
【澪】あっ、わ、私も…。
【水姫】ま、また今度あった時にお礼を言おうよっ。
【澪】そうですね…。
   とりあえず、焔護さんがいるところまで戻りましょう…。

今度はしっかり手を握ってもといた所に戻った。



―――その時、ふと水姫が周りを見ると、自分によく似た雰囲気の
女の子が前方にいることに気付いた。
【水姫】わー、ボクに似てるなー。ボクより髪の毛短いみたいだけど…。
【澪】ほ、ホントですね…。
   世の中には三人似た人がいるといいますけど…


【水姫に似た少女】おおーいっ、行くよ、<みお>ちゃんッ!!
【<みお>と呼ばれた少女】ちょっ、ちょっと待って下さい、<あさぎり>さんっ!

前方の水姫似の少女のやり取りが聞こえる。

【水姫】わはっ、今度は澪ちゃんに似てる―――。
【澪】そ、そうですね…あちらの方は私より髪の毛が長いようですけど…。



【<あさぎり>とばれた少女】もうッ、<みお>ちゃん、ボクのことは<みずき>って
                  呼んでっていってるでしょ?
                  <みお>ちゃんのことも<みかがみ>さんって呼んじゃうよ?
【<みお>】あうう、わ、わかりました、<みずき>さん…。
【<みずき>】それでよし!んじゃ急いでいくよッ!
【<みお>】はっ、はいッ。


【澪】<あさぎりみずき>さん、と<みかがみみお>さん…?
   名前も…同じですよ?
【水姫】こんな事ってあるんだねえ。ボク吃驚したよっ。

偶然の…一致にしては似すぎている。というか、まったく同じ―――
その二人が急いでいるように、たたた…、と水姫と澪のそばを駆けていく。


【水姫】なんかホントボクたちとそっく――――わわっ!?
【澪】ど、どうしたんですかっ、水姫さ―――きゃっ!?

キイイイイイイイイン…と耳鳴りが走った。


【水姫】うっく…。な、なに、コレ…。
【澪】ううっ…わ、私達だけ…?

思わず座り込む二人。徐々に耳鳴りが収まっては来たものの、
なかなか立ち上がることが出来ない。

【水姫】み、澪ちゃん、…大丈夫?
【澪】は、はい、―――さっきよりましになりましたけど―――…





【女性の声】…水姫と澪…か?

そんな二人に背後から声がかかった。